[解説]
決算前の着地の検討のため、お客さまに来社いただきました。
今期のことはまずまず見えたので、次年度の計画の話になりました。
社長「来期は売上○億円、やりたいんですよね」
西川「思い切りましたね。実現するのに何が必要だと思いますか?」
社長「人の採用ですね。スカウトしたいと思っている人がいまして。」
どんな方かと聞いてみると、すばらしい経歴の方です。
でも、失礼ながらその会社のカラーに合わない感じです。
応じてくれるのか疑問だったので聞いてみました。
西川「その人、お金には困ってないんですよね。
どうやって口説くんですか?」
社長「・・・・」
西川「その方には、将来どんな風になってもらおうと
思っておられるんですか?」
社長「・・・・」
猪突猛進型のこの社長、そこはまだ煮詰まっていないようです。
西川「そもそも会社を将来どんな風にしようと思ってるんですか?」
社長「実はそこ、正直わからないんですよね・・」
ちょっと困った様子です。
西川「社長、じゃあちょっと発想を変えてみましょう。
将来どんな体制になったら理想なんですか?」
ペンを渡してホワイトボードに組織図を書いてもらうことにしました。
西川「この体制で、売上どれくらいですか?」
社長「ざっと**億円ですね」
西川「いまやろうとしているのが○億円ですよね。
ステージとしてあと何段階くらいあると思いますか」
それぞれのステージごとに、どんな組織図になりそうか、
ホワイトボードに書いてもらいました。
この会社のビジネスは労働集約型なので、
売上と人件費を見通せれば、収支構造の大枠が決まります。
ホワイトボードに横並びで書かれた各ステージの組織図の下に
売上と人件費、経費を書いてみました。
超簡易版ですが、中期経営計画の出来あがりです。
この社長、もともと商売のセンスはいいので、ステップに刻むと
やらないといけないことが、だいたい見えてきたようです。
西川「どうですか?」
社長「びっくりしました!これ、行けると思う!
でもこうして考えると、今回の採用、今はこの人じゃないかもしれないな。
ちょっと冷静に考え直してみます。」
会社の未来像を明らかにすることは大切です。
でもいざ、それを語れと言われても困ってしまう、
という方も多いことでしょう。
往年の中小企業の社長専門コンサルタント、一倉定先生は
会社の未来像として次の3つが基本だと言っています。
1)どのような事業を行うか?
2)事業の規模をどのようにするか?
3)社員の処遇をどうするか?
「わが社は何をやっている会社になっているか?」
「業界のなかでどのような存在になっているか?」
もし詰まってしまうようであれば、
いま会社にいるメンバーの顔を実際に思い浮かべながら
未来の組織図を考えてみてはいかがでしょうか?
少しはアクティブにイメージができるかもしれません。